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to 不定詞 [to + V] の表す時 (中・上級者向け) -その12-総まとめ  
to 不定詞 [to + V] の表す時 (中・上級者向け) -その12-総まとめ
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to 不定詞 [to + V] の表す 「時」 を点検し始めてもう12回目。
今回で最終回です。
to 不定詞 [to + V] の to は、元は 「方向」 を表す前置詞で、「Vする方向に向かって」 というのが本来の意味だから、基本的に 「未来志向」 である、とよく言われます。
今回の総点検で心に浮かんだのは、「はたしてそうだろうか?」 という疑問です。
単純に 「未来志向」 という考えでは説明しきれないほど、to 不定詞 [to + V] は多様化・複雑化しているように思えます。
今回は総まとめとして、述語動詞 の 「時」 に対する 単純不定詞 = to + V と 完了不定詞 = to have Vpp の 「時」 を、少し詳細に分類してみましょう。
単純不定詞 = to + V の表す 「時」
1. 「述語動詞の時」 より 「未来」 を表す
1. (実際にV する[した]かどうか不明の場合)
この場合、to + V の V には、 動作動詞 が入ります。
[be to V-予定]
The President is to visit Japan next year.
大統領は来年日本を訪問することになっている。
[形容詞的用法]
Do you have anything to do tonight?
今晩何かすることありますか?
[疑問詞 + to V)]
I didn't know what to do.
私は何をすべきか[どうしたらいいか]わからなかった。
[whether to V]
I can't decide whether to go or (to) stay.
私は行くべきかとどまるべきか決めることができない。
[副詞的用法-目的]
I am studying very hard to pass the exam for Todai.
私は東大の試験に合格するために一生懸命勉強しています。
[be 形容詞 to V の文型(慣用表現)]
He was eager to see her.
彼はしきりに彼女に会いたがっていた。
[動詞 + to V の文型]
I hope to marry her.
私は彼女と結婚したいと願っています。
[動詞 + O + to V の文型]
My father told me to study harder.
父は私にもっと一生懸命勉強するように言った。
2. 「述語動詞の時」 より 「未来」 を表す
1. (実際にV する[した]ことを暗示する場合)
この場合も、V には 動作動詞 が入ります。
[動詞 + O + to V の文型]
My parents allowed me to study abroad.
両親は私が留学することを許してくれた。
I persuaded him to give up smoking.
私は彼を説得してタバコをやめさせた。
3. 「述語動詞の時」 より 「後で行われた行為」 = 「未来」 を表す
1. (結果的に実際にV した場合)
この場合も、やはり V は 動作動詞 です。
[be to V-運命]
I was to marry you after all.
私は結局君と結婚する運命だったんだ[ことになってたんだ]。
[副詞的用法-結果]
He grew up to be a great scientist.
彼は成長して偉大な科学者になった。
この場合の be は、become と同意で、動作動詞です。
ここまでは、誰もが認める 「未来志向」 の英文ばかりです。
4. 「述語動詞の時」 と 「全く同時の状態」 を表す
この場合、V には 通例、状態動詞 が入ります。
特に be動詞 が入った to be ~ が多用されます。
動作動詞 の場合は、次のように、状態動詞化している場合に限ります。
to be Ving (一時的にVしている状態 = 進行中)
to be Vpp (繰り返し、又は一時的に、Vされている状態 = 状態の受身)
to V (習慣的・一般的にVしている状態)
[seem to V]
He seems to love her. (状態動詞)
= It seems that he loves her.
彼は彼女を愛しているようだ[ように思われる。
He seems to be busy now. (be動詞)
= It seems that he is busy now.
彼は今忙しいようだ[ように思われる。
He seems to be studying in his room now. (進行中)
= It seems that he is studying in his room now.
彼は今自室で勉強しているようだ[ように思われる]。
He seems to be very shocked. (一時的受身状態)
= It seems that he is very shocked.
彼はとてもショックを受けているようだ[ように思われる]。
He seems to come here every day. (習慣的に繰り返される動作)
= It seems that he comes here every day.
彼は毎日ここに来ているようだ[ように思われる。
特定の場合に一回だけ行われる動作動詞は、「未来」 を表すので使えません。
He seems to come to the party. (× 一回だけの特定行為)
= It seems that he will come to the party. (○)
彼はそのパーティーに来るようだ[ように思われる]。
最後の例は、進行形を使えば未来を表すことができます。
He seems to be coming to the party. (○)
= It seems that he is coming to the party.
彼はそのパーティーに来るようだ[ように思われる]。
[appear to V]
He appears to love her.
= It appears that he loves her.
彼は彼女を愛しているようだ[ように見える]。
[prove to be ~ = turn out to be ~]
The rumor proved to be true.
The rumor turned out to be true.
= It turned out that the rumor was true.
そのうわさは本当であることがわかった。
[think[believe][find] + O + to be C 型の文型]
We think her to be smart.
= We thihk (that) she is smart.
私達は彼女を頭がいいと思っている。
[be thought[believed][said] to V 型の文型]
She is thought to be smart.
= It is thought that she is smart.
彼女は頭がいいと思われている。
これらの場合は、明らかに 「同時志向」 で、「未来志向」 ではありませんね。
これらの文型に、後述する to have Vpp [完了不定詞」 が多用されます。
5. 「述語動詞の時」 より 「前」 か 「ほぼ同時」 を表す
[副詞的用法-感情の原因]
I am glad to meet you.
(私は)あなたにお会いできてうれしいです。
V して、それが原因で喜んでいるのですから、「Vする行為は直前に終わっている」 か 「ほぼ同時」 かどちらかです。
[副詞的用法-判断の根拠]
I was foolish to buy such a car.
= It was foolish of me to buy such a car.
そんな車を買うなんて私は馬鹿だtった。
Vするとは[するなんて]、馬鹿だったと判断しているのですから、「Vする行為はすでに終わっている」 か 「ほぼ同時」 かのどちらかです。
これらの用法の場合、「述語動詞の時」 より 「前時」 をはっきり表すために、 to have Vpp が使われることがあります。
I am glad to have met you.
お会いできたのはうれしいです。
→ お会いできてよかったです。(別れ際のあいさつ)
I was foolish to have bought such a car.
= It was foolish of me to have bought such a car.
そんな車を買ったなんて私は馬鹿だった。
これらも、明らかに 「未来志向」 ではありません。
6. 「述語動詞の時」 と 「ほぼ同時」を表す
「述語動詞の時」 と「全く同時」 とは言えないまでも、to V の行為に結果的に到達しているので、「ほぼ同時」 と解釈できる場合です。
[be to V-可能]
My car was not to be found anywhere.
私の車はどこにも見つけられることができなかった。
→ 見つからなかった。
「見つけられる行為に到達しなかった」 が原意です。
be to V はこの用法以外は 「未来志向」 です。
[形容詞的用法]
He was the first (man) to fly in the air.
= He was the first man who flew in the air.
彼は空を飛んだ初めての(男の)人だった。
I had a chance to speak to her yesterday.
私は昨日彼女に話しかける機会があった。
[be 形容詞 to V の文型(慣用表現)]
I was able to pass the exam.
私はその試験に合格することができた。
この文型は 「未来志向」 が多いですが、たまにこのような例もあります。
[動詞 + to V の文型]
I managed to catch the first train.
私はなんとか始発電車に間に合った。
I've learned to swim.
私は泳げるようになりました。
[動詞 + O + to V の文型]
The scholarship enabled me to study abroad.
奨学金は私がが留学することを可能にした。
→ 奨学金のおかげで私は留学することができた。
7.. 「述語動詞の時」 と 無関係 = 「時間的に中立」
[形容詞限定]
This book is easy to read.
この本は読むのが簡単だ[読み易い]。
This is an easy book to read.
これは読み易い本です。
to read は easy だけを限定していて、is の 「時」 とは 無関係 で 「時間的に中立」 だと解釈できます。
ただし、
「この本を読んでみたらどうですか?読めば簡単ですよ。」
と解釈すれば、「未来」 とも解釈できますし、
(I found) this book was easy to read.
この本は読み易かったですよ。
は、実際に読んでいるので、「同時」 とも解釈できます。
微妙ですね。 (・。・;
[too ~ to V]
She is too young to get married.
彼女は結婚するには(あまりにも)若すぎる。
[~ enough to V]
She is old enough to get married.
彼女は結婚するのに十分年齢がいっている。
→ 彼女は結婚できる年齢だ。
[so ~ as to V / such ~ as to V ]
I am so young as to climb Mt Fuji.
私は富士山に登れるほど若い。
He is not such a foolish person as to believe that story.
彼はその話を信じるほど馬鹿な人ではない。
too ~ to V
Vするには(あまりにも) ~すぎる
~ enough to V
Vする[できる]のに十分~だ
→ Vする[できる]ほど~だ
so ~ as to V
Vする[できる]ほど[くらい]~だ
such ~名詞 as to V
Vするほど[くらい]~な名詞
これらの 「程度」 を表す文型も、「述語動詞の時」 とは無関係で、「時間的に中立」 だと考えられます。
ただし、先ほどの 「形容詞限定」 と同様、「to V の行為をまだしていない場合」 は 「未来」 に、 「to V の行為を実際にしている場合」 は 「同時」 とも解釈できます。
She is old enough to get married.
→ 彼女は結婚できる年齢だ。
(結婚するとしてもそれは 「未来」)
This book was easy enough for me to read.
この本は私が読めるほど簡単だった。
(実際に読んでいるので 「同時」)
[好みを表す他動詞 + to V]
I like to play video games.
僕はテレビゲームをするのが好きだ。
この英文は、動名詞を使って
I like playing video games.
僕はテレビゲームをするのが好きだ。
と言っても、基本的に同意です。
to play video games = playing video games
(一般的・習慣的に) テレビゲームをすること
ですから、「述語動詞の時」 とは無関係で 「時間的に中立」 ということになります。
ただし、to V を使う
I like to play video games. は、
I'd like to play video games.
僕はテレビゲームをしたいんです。
と同意に取られて、 「未来」 に解釈される可能性が高いですから、「一般的・習慣的好み」 を述べたい場合は、動名詞を使った、
I like playing video games. を使うほうが無難でしょう。
[be 形容詞 to V の文型(慣用表現)]
He is apt to forget people's names.
彼は人の名前を忘れがちだ。
主語のの習慣的傾向性を述べているのですから、「時間的に中立」 と言えます。
ただし、「Vする傾向性があるから、Vするかもしれない」 と考えれば、「未来」 だと解釈できますし、「Vする傾向性を持っている」 と考えれば、「同時」 とも解釈できます。
完了不定詞 = to have Vpp の表す 「時」
to have Vpp は、述語動詞の時点での完了 / 述語動詞の時点までの継続・経験 / 述語動詞の時よりも前 = 過去・大過去[過去の過去] を表します。
学校の教科書や市販の参考書は、「述語動詞よりも以前を表す」 と説明し、過去・大過去を表す例文を多く挙げ、完了・継続・経験を表す例文を少ししか挙げていないのが現状です。
もう少し、完了・継続・経験の例文も増やして欲しい、というのが私の希望です。
to have Vpp が多用されるのは、上記の 4. に分類されている次の文型です。
seem to V
appear to V
be thought[believed][said] to V
これらの文型の to V の V は、通例、状態を表す動詞で、特に to be が多用されます。
to have Vpp になると、動作動詞も使うことができ、次のような意味になります。
(ずっと) Vしている [継続]
Vしたことがある [経験]
(もう) Vした [完了]
(まだ) Vしていない [完了]
Vしたばかり [完了]
Vした [過去]
Vしていた [過去]
+
ように思われる [seem]
ように見える [appear]
と思わ[信じら][言わ]れている [be thought / be believed / be said]
わかりにくいですか?
では、例文で覚えてしまいましょう。
8. 「述語動詞の時点」 での 「完了」 / 「述語動詞の時点」 までの [「継続」・「経験」
1. Ken appears to have been sick since yesterday afternoon.
1. = It appears that Ken has been sick since yesterday afternoon.
2. Ken seems to have visited Kyoto before.
2. = It seems that Ken has visited Kyoto before.
3. Ken was thought to have already finished all his homework.
3. = It was thought that Ken had already finished all his homework.
4. Ken appeared to have just got(ten) up.
4. = It appeared that Ken had just got(ten) up.
5. Ken seems not to have eaten lunch yet.
5. = It seems that Ken hasn't eaten lunch yet.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. ケンは昨日の午後からずっと調子が悪そうに見える。
2. ケンは以前京都を訪れたことがあるように思われる。
3. ケンはもうすでに宿題を全て終わらせた[ている]と思われていた。
4. ケンはちょうど起きたばかりのように見えた。
5. ケンはまだ昼食を食べていないように思われる。
3. 4. のように、述語動詞が過去の場合は、厳密に言えば to have Vpp は過去完了の意になりますが、和訳は現在完了のままで結構です。
言わば、「過去の時点での現在完了」 とでも言ったところでしょうか?
9. 述語動詞の時よりも前 = 過去・大過去[過去の過去]
1. He seems to have gone home an hour ago.
1. = It seems that he went home an hour ago.
2. He seemed to have gone home an hour before.
2. = It seemed that he had gone home an hour before.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 彼は1時間前に家に帰ったように思われる[帰ったようだ]。
1. (過去に帰ったように現在思われる。)
2. 彼は1時間前に家に帰ったように思われた[帰ったようだった]。
2. (大過去に家に帰ったように過去に思われた)
2. (had gone は went の時制の一致なので、和訳は 「過去」 のまま)
3. He seems to have been sick last week.
3. = It seems that he was sick last week.
4. He seemed to have been sick the week before.
4. = It seemed that he had been sick the week before.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3. 彼は先週病気だったように思われる[だったようだ]。
3. (過去に病気だったように現在思われる)
4. 彼は前の週病気だったように思われた[だったようだった]
4. (大過去に病気だったように過去に思われた)
4. (had been は was の時制の一致なので、和訳は 「過去」 のまま)
5. He is believed to have gone there on that day.
5. = It is believed that he went there on that day.
6. He was believed to have gone there on that day.
6. = It was believed that he had gone there on that day.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5. 彼はその日そこに行ったと信じられている。
5. (過去にそこに行ったと現在信じられている)
6. 彼はその日そこに行ったと信じられていた。
6. (大過去のその日にそこに行ったと過去に信じられていた)
6. (had gone は went の時制の一致なので、和訳は 「過去」 のまま)
お疲れ様でした。 (^^)
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